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思春期からの健康管理「プレコンセプションケア」について

更新日:2024年11月08日

「プレコンセプションケア」とは?

プレコンセプションケアとは、プレ(pre)は「~の前」、コンセプション(conception)は「受胎」で、「妊娠前からのケア」を意味します。希望する方が妊娠・出産を実現できるよう、若いうちから妊娠・出産や自身の健康に関する正しい知識を持ち、自身の健康管理を意識することで、生涯にわたって「質の高い生活」を送ることにつなげるヘルスケアの概念を指します。

若い世代が、日々の生活や健康と向き合うことで、将来自身が希望するライフプランを叶えるほか、次世代を担う子どもの健康にもつながるとして近年注目されています。

WHO(世界保健機関)では、プレコンセプションケアを「妊娠前の女性とカップルに医学的・行動学的・社会的な保健介入を行うこと」と定義しています。

プレコンセプションケアが必要とされる主な背景

1.リスクの高い妊娠の増加

近年問題となっている女性の「やせすぎ」や肥満は、心身の不調を招くだけではなく、切迫早産や低出生体重児※といったリスクのある妊娠の原因にもなります。

※出生時の体重が2,500g未満の新生児のこと

2.不妊症の増加

月経不順や月経痛などの月経トラブルの放置が、不妊症や子宮の病気の原因となることがあります。

また、不妊症は「女性の問題」と思われがちですが、不妊の原因の約半分は男性にもあると言われています。男女ともに健康管理をして、不妊のリスクを減らすことが大切です。

3.性・生殖に関する知識の不足

日本では正しい知識を得る機会が限られているため、不妊や望まない妊娠、性感染症への罹患に繋がる可能性があり、自分や次世代の子供たちの人生に影響を及ぼしかねません。

知っていますか?

・卵子の数は決まっています

卵子は女性が生まれる前から持っていて、年齢を重ねるとともにその数は減っていきます。

・卵子の質は低下します

年齢が高くなるにつれて卵子の質も低下します。特に30代以降は妊娠率が徐々に低下し、流産率が上昇します。

・精子も変化します

思春期以降、毎日精巣でつくられる精子も、年齢とともに運動率や質が低下します。

プレコンセプションケアの目的は3つ!

・若い世代の健康を増進し、質の高い生活を実現してもらうこと

・若い世代の男女が将来、より健康になること

・健全な妊娠・出産のチャンスを増やし、次世代の子どもたちをより健康にすること

できることから始めよう!プレコンセプションケア

適正体重を保つ

適正体重はどのくらいか知っていますか?BMI(体格指数)で18.5以上25未満が適正体重と言われています。

過度なダイエットによるやせすぎ(BMI18.5未満)は、ホルモンバランスを崩し、不妊の原因になると言われています。貧血やメンタルの不調、骨密度の低下なども引き起こします。

一方で肥満(BMI25以上)は、糖尿病や高血圧など、男女ともさまざまな病気の土台となります。

・BMI算出方法:体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)

食生活を整える

1日3食 主食(ごはん・パン・麺類)、主菜(魚・肉・卵・豆腐などの大豆製品)、副菜(野菜を中心にした料理)を組み合わせて、バランスのよい食事をとるように心がけましょう。時間がないから、太りたくないからと食事を抜くと栄養不足になってしまいます。3食しっかりとるようにしましょう。

若い女性に多い貧血は、立ちくらみやだるさなどの症状があります。また、妊娠中の貧血は、早産および分娩後の母体感染のリスクを高めます。日頃から、貧血予防に欠かせない鉄を多く含む食品(赤身の肉・あさり(水煮)・赤身の魚・ほうれん草・小松菜・高野豆腐など)を積極的にとりましょう。

また、葉酸は胎児の発育に欠かせないビタミンです。妊娠前から妊娠初期にかけて葉酸をとることで胎児の神経管閉鎖障がい※の発生リスクが低減するといわれています。葉酸は、ほうれん草・ブロッコリー・枝豆・かぼちゃ・納豆・いちごなどに多く含まれています。

※子宮内の赤ちゃんの脳や脊髄のもととなる神経管に障がいが起こる先天異常のこと

適度な運動

1週間に150分程度、少し息がはずむくらいの運動が目安とされています。ウォーキング、オケちゃん健康体操、筋力トレーニングやヨガなどできることから始めてみましょう。適度な運動は、適正体重の維持に役立ちます。また、血行の改善、筋肉の増加、骨の強化といった健康効果が得られるほか、ストレス解消など心にも良い影響を与えます。

生活リズムを整えよう

質の良い睡眠は、日々の疲れを回復させるだけでなく、ホルモンバランスを整えてくれます。

個人差はありますが、1日の睡眠時間は6~8時間が理想的と言われています。

また、平日と休日の睡眠時間に大きな差があると、時差のようなものが発生し、体内時計が狂うことで不調を招きやすくなるため、休日に寝だめをする場合は、入眠時間を早め、普段よりも早く寝て、翌日午前中には起床するようにしましょう。

たばことお酒に注意

たばこは、がんや心臓病など多くの病気を引き起こすばかりか、男女ともに不妊のリスクを高め、胎児の発育にも影響します。パートナーや周囲の人からの受動喫煙も同様です。身近な人にも禁煙をお願いしましょう。

お酒の飲みすぎは、心身共に悪影響を及ぼします。あらかじめ量を決めて飲むなど、適度な飲酒を心がけましょう。

妊娠中の飲酒は、赤ちゃんの発育に悪影響を与えます。妊娠したらお酒を控えましょう。アルコールは母乳に移行することから、授乳中もお酒は控えましょう。

ストレスをためない

過度なストレスはホルモンバランスの乱れや月経不順などになり、妊娠しにくくなります。

妊娠に関わらず、過度なストレスは心身にダメージを与えます。自分に合った解消方法を見つけましょう。

つらい気持ちが募ったときは、ひとりで抱えずに家族や友人へ相談したり、医療機関へ受診するなどしましょう。

感染症を予防しよう

昨今急増している性感染症。性行為では、コンドームを使用するなど基本的な感染対策を心がけてください。風疹などワクチンで予防できるものは、接種を検討しましょう。感染症は男女にかかわらず不妊の原因になることや、将来の子どもの健康に影響を及ぼす場合があります。

特に気をつけたい感染症

・性器クラミジア感染症

性感染症の中でも最も感染者が多く、卵管が閉塞・癒着することがあり、不妊の原因になることが知られています。

・梅毒

性感染症である梅毒に感染すると、胎盤を通して胎児に感染し、死産、早産、新生児死亡などが起こることがあります。

・風疹

妊娠中(特に妊娠20週頃まで)にかかると赤ちゃんが難聴・白内障・先天性心疾患を特徴とする先天性風疹症候群をもって生まれてくる可能性が高くなります。

・ヒトパピローマウイルス(HPV)感染症

子宮頚がんの原因になるので、女性はワクチンやがん検診を受けましょう。

生活習慣病やがんのチェック

健康診断を受けるなど、パートナーと一緒に定期的に健康管理をしましょう。

また、妊娠すると口腔環境が悪化しやすく、歯周病にかかっていると早産や低出生体重児につながることがあります。若いうちから、定期的な歯科健診も習慣にしましょう。

女性は20代からがん世代

子宮頸がんや乳がんは、20~30代から増加します。検診の機会は逃さず受診してください。

かかりつけ医を持とう

持病の健康管理や健康に関することをなんでも相談できるかかりつけ医、お口のトラブルを最小限にとどめてくれるかかりつけ歯科医、加えて女性は、かかりつけ婦人科医を持つと安心です。

心配なことはひとりで抱えずに相談しよう(相談窓口)

・プレコンセプションケアセンター
・スマート保健相談室
・不妊治療・不育症・プレコンセプションケアに関する県の相談窓口
・にんしんSOS埼玉
・電話相談・訪問指導(桶川市)

関連情報

この記事に関するお問い合わせ先

健康増進課
住所:桶川市鴨川1丁目4番1号
電話:048-786-1855
ファックス:048-786-0096

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