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国指定重要文化財「埼玉県後谷遺跡出土品」保存修理事業

更新日:2021年05月11日

赤堀2丁目に所在する縄文時代の遺跡「後谷遺跡(うしろやいせき)」から発掘された出土品のうち、645点が平成23年6月に国の重要文化財に指定されました。
これを契機として、桶川市教育委員会では、後谷遺跡出土品を劣化や破損から守り、広く活用をしながら未来へ伝えてゆくために、平成24年度から国の補助金を受けて保存修理事業を継続して行ってきました。そして、令和2年度をもって9ヵ年にわたり実施してきた修理事業が完了しました。

令和2年度までに、指定された出土品645点のうち598点の出土品を対象に保存修理を実施することができました。併せて、出土品の散逸防止と、より安全な状態での保管および活用ができるように、専用保存台などの作製も行いました。

また、9年間の保存修理事業の内容をまとめた図録を作成しました。

今後は、後谷遺跡出土品をより多くの皆様に見ていただき、知っていただき、学んでいただき、ずっと遠くの未来まで大切に引き継いでいけるよう、積極的な活用に取り組んでいきます。

修理の過程をご紹介します

壺型土器(令和元年度修理実施)の修理の様子です。

後谷27番壺修理前

【修理前の状態】

壺型土器の修理前の状態です。遺跡から発掘されたときは破片でしたが、それを市販のセルロース系の接着剤で接合しています。欠損していた部分は石膏で復元し着色をしています。とてもきれいに修復されていますが、発掘からは30年以上が経過しており、劣化が進んでいます。また、全体的に傾いた形状に復元されています。

後谷27番壺解体

【解体した状態】

修理する土器を一度解体します。解体する前にはX線写真を撮影し、目に見えないひび割れなどがないかも確認しています。解体した後は、過去に修復したときに使われた古い接着剤や石膏を取り除き、全体をクリーニングします。土器がもろくなっている部分には、専用の薬品を薄く塗布し強化することで、それ以上劣化しないようにしています。

後谷27番壺樹脂充填

【接合した状態】

解体、クリーニングが済んだら、再び接合を行います。接着にはアクリル系樹脂を使用し、欠損部分は石膏ではなくアクリル系樹脂で復元し、土器の文様も復元します。破片同士の接合面や接着角度などを細かく観察して組み上げるため、器形の傾きもなおっています。

後谷27番壺完了

【完成】

樹脂で復元した部分に色を塗り、修理完了です。樹脂で復元した部分がわかるように、本物の土器の部分とは微妙に違えた色で着色しています。

後谷27番壺保存箱

【保存箱】

それぞれの出土品ごとに桐材の保存箱を作製し、収納します。中は出土品に合った形の緩衝対策がされています。こうすることで、箱の中で出土品が動いてしまったり、大きな衝撃を受けたりするリスクを減らすことができ、より安全に保管・管理をすることができます。

後谷27番壺保存台

【保存台(展示台)】

保存箱のふたは、裏返すと保存台になり、そのまま展示台としても使えます。展示や見学に使う際は、箱ごと運搬しそのまま展示できるので、出土品に直接触れる頻度も最小限にでき、より安全に取り扱いができます。また、市外や県外の博物館などへの貸し出しも、保存箱に収納した状態で専用展示台ごと貸与できるので、便利です。

後谷修理監督1
後谷修理監督2

修理する出土品はそれぞれ状態が違うので、修理方法は出土品ごとに検討して決めました。修理期間中は、文化庁の調査官と市教育委員会の担当者が修理業者を訪問し、作業の進捗や状態を確認するための修理監督を複数回行いました。(写真は、令和元年度に修理を実施した鉢型土器と修理監督の様子)

保存修理の実績

後谷遺跡出土品保存修理事業の実績は以下の通りです。

年 度 品 目 対象点 数 保存箱
平成24年度 漆製品(櫛や弓など) 計13点 あり
平成25年度 土製品(土偶)および木器・木製品(櫂など) 計18点 あり
平成26年度 木器・木製品(弓) 計22点 あり
平成27年度 木器・木製品(弓、石斧柄) 計13点 あり
平成28年度 土器・土製品(土器、耳飾り) 計189点 あり
平成29年度 土器 計9点 あり
平成30年度 土器・土製品(土器、土偶など) 計16点 あり(一部)
令和元年度 土器・土製品(土器、土偶) 計15点 あり(一部)
令和2年度 土器・土製品、石器・石製品 計304点 あり(一部)

 

出土品の活用

保存修理が終了した出土品は、歴史民俗資料館に収蔵され、一部は展示室で展示されています。また、歴史講座などでご覧いただいたり、他の博物館への貸し出しを行ったりしています。
平成30年には、保存修理が完了した出土品の一部が東京国立博物館の特別展で展示されたほか、はるか海を越え、フランスにあるパリ日本文化会館でも展示されました。

パリ縄文展

写真提供:国際交流基金

フランスで展示された後谷遺跡のミミズク土偶
(写真中央)

保存修理をまとめた図録(令和2年度作成)

この記事に関するお問い合わせ先

文化財課 文化財保護係(市役所旧分庁舎内)
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​​​​​​​電話:048-786-4009
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